女の歓びってなに?
「女の歓びってなに?」
夫に愛人ができても、みどりはなんにも思わなかった。
むしろ、拷問されないだけ助かるわ。なんて
くらいに思っていた。もちろん夫に
愛情を感じないので嫉妬もしない。
みどりとその愛人が話し合う場面を
おぼろげながら覚えているけど
実におもしろかった。
みどりが不思議に思って、その愛人に尋ねるのだ。
「あなたは、毎晩うちの人とあんなことなさっているのですか?」
愛人はそんなことをいきなり本妻から尋ねられてぎょっとするけど
「ええまあ」というような返事をする。
するとみどりは、
「うそ?えらいわ?つらくないの?
私は毎日つらくてつらくて泣いていましたのよ」
それを聞いた愛人は、「女の歓び」を知らないみどりを哀れに思う。
とまあ、こんな感じだったと記憶しているけどさだかではない。
(いくぶん自分で脚色してしまっているかもしれません。すみません。)
結局、みどりは離婚して、実家に戻ってくるのだが
落ちこむどころか、生き生きして帰って来る。
またお父様とお母様といっしょに暮らせるなんて
最高にしあわせ♪
そんな感じだ。
これは
石川達三氏の実験小説だということです。
タイトルもずばり「稚(おさ)なくて愛を知らず」
モデルは存在しないようです。もし、そういう女性が実際に存在したと仮定して
その女性の半生をシミュレーションして、書かれた小説だということです。
しかし、たいへん面白い小説でした。機会があればまた読み返してみたいと思います。
それにしても「みどりさん」は果たしてしあわせなのでしょうか?
それともふしあわせなのでしょうか?
今だによくわかりません。